運動中に音楽を聴くと疲労感を軽減し、モチベーションを上げてくれます。
実験でも無酸素運動と有酸素運動の両方で効果があるということが分かっています。
ハンドグリップでのエクササイズ
19人の健康な成人がMRIの中で運動を行うという実験に参加しました。(男性:12人 女性:7人)
使用するのは握力を鍛えるためのハンドグリップです。
10秒間の運動と10秒間の休憩を繰り返しながら30セット行います。
合計で10分間のセッションとなります。
10秒間の運動中は音楽が流れる場合と流れない場合がランダムにやってきます。
この間の脳の活動を調べました。
その結果、音楽を聴きながら運動を行ったときには左下前頭回が活性化することが分かりました。
この部位の活性化と労作反応には負の相関があると考えられています。
つまり疲れを感じにくくなるということです。
歩行時の脳波にも影響
別の実験では有酸素運動に音楽が与える影響も調べられました。
24人の参加者は400mを以下の条件で歩きました。
- 音楽を聴く
- ポッドキャストを聴く
- 何も聴かない
その結果、音楽を聴きながら歩いたときが最もポジティブな感情が沸き起こりました。
脳波を測定したところベータ波が増えていることも分かりました。
これにより内部の感覚信号から離れ目の前のタスク(=歩く)とは関係のない要因に集中できたのではないかと考えられています。
つまり歩行による疲れも感じにくくなるということです。
オーバーワークに注意
これらの実験からも分かるように運動中に音楽を聴くということは疲労を感じにくくし、気持ちを前向きにしてくれます。
ただし音楽を聴きながらの場合には外部環境への集中力は落ちる傾向があります。
道路で運動するときは注意しましょう。
また疲労を感じにくくなるということはオーバーワークに繋がる可能性も高いということです。
音楽を聴きながらであれば何時間でも走れるという人もいますが一般人の場合は健康に悪影響を及ぼすことのほうが多いので気をつけてください。
参考文献:
MarceloBigliassi, et al. (2018). Cerebral effects of music during isometric exercise: An fMRI study.
MarceloBigliassi, et al. (2019). The Way You Make Me Feel: Psychological and cerebral responses to music during real-life physical activity.